最近、頭がボーっとしたり、肩こりがひどく痛みを感じたり、疲れやすくなったと感じることはありませんか？その症状、実は「脂肪肝」が原因かもしれません。
脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が蓄積された状態を意味します。肝臓が太ってしまい、フォアグラのような状態になってしまっているということです。
テレビ番組やInstagramなどで、オシャレなごはん屋さんやカフェ、コンビニスイーツなど、美味しそうな食べ物が紹介されているのをよく見かけます。
美味しいごはんを食べるということはストレス発散にもなり良いことなのですが、毎日外食や毎日スイーツを食べているのであれば、それはかなり深刻な問題かもしれません。
脂肪肝は、放置すると※肝硬変の原因となり、最悪の場合は肝臓ガンになってしまいます。
（※肝硬変とは：肝細胞が死滅し、肝臓が硬く変化してしまい肝機能が著しく低下した状態）
「そんなオジサンがなりそうな名前の病気になるわけないじゃん」と思ったそこのアナタ。近年では若者の脂肪肝が急増しており、決して他人事ではありません。
「お酒を飲まないから肝臓は元気」と思っているアナタも、本当に大丈夫ですか？
肝臓と聞けばお酒を飲む人が負担をかけているイメージがありますが、実はお酒を飲まない人も脂肪肝になります。

そもそも肝臓ってどんな働きをしてるの？

1.代謝・エネルギーの貯蔵

胃腸で分解し吸収された栄養素を貯めて利用しやすい状態にしてくれます。

2.解毒作用

アルコールなど、そのまま吸収してはいけない有害物質を解毒してくれます。

3.胆汁の生成

消化活動に必要な胆汁を分泌・合成してくれます。この胆汁は、脂肪の分解を助ける役割があり、コレステロールを体外に排出するといった働きもしてくれます。

肝臓は別名「沈黙の臓器」とも言われており、知らない間に病気が進行していることもあります。脂肪肝もその内の1種です。

脂肪肝の原因

1.肥満・食べすぎ

最も多い原因は肥満です。現代では日本の食事も欧米化が進んでおり、肥満者が増えています。
肥満とは、医学的にはBMI（Body Mass Index）という体格指数で数値として見ることが可能です。
体重（kg）÷身長（m）÷身長（m）で計算し、18.5未満をやせ型、18.5以上25未満が普通体形、25以上が肥満です。（例：158cm、48kgの場合→48÷1.58÷1.58＝19.23）
重要なのはBMIだけではありません。体脂肪率も重要で、男性は25％以上、女性は30％以上で肥満です。
食べ過ぎることによって、使用するエネルギーよりも生成される中性脂肪が上回ってしまいます。その結果、余分な脂肪分が肝細胞に蓄積されてしまいます。

2.飲酒

誘われたら飲みに行くという方や毎週末飲み歩くという方、毎日飲んでいるという方もいるのではないでしょうか。
お酒を飲むと気分が良くなり、日頃のストレスから解放されますよね。しかし、お酒の飲みすぎは脂肪肝の原因となります。
アルコールを過剰に摂取すると、肝臓の役割である代謝の働きが通常よりも活発になります。
活発になりすぎた肝臓は栄養分をうまく処理することが難しくなり、必要以上の脂肪を貯めこんでしまいます。

3.食生活

摂取しすぎた脂質は、そのまま肝臓に蓄積されて脂肪肝になってしまいます。脂質の中でも、特に動物性脂肪は要注意です。
お肉の脂身や、バター・生クリームなどの動物性脂肪は、中性脂肪として蓄積されやすいので食べ過ぎると脂肪肝になってしまいます。
それだけでなく、油にも注目してください。揚げ物などに使用する一般的なサラダ油には、肝臓の負担となる「トランス脂肪酸」が多く含まれています。
オリーブオイルやゴマ油、亜麻仁油などのトランス脂肪酸ゼロもしくは含まれていても少量の油を選び、できるだけトランス脂肪を避けるようにしましょう。

トランス脂肪酸について詳しくはこちら！
米国では使用禁止へ。身近な食品に潜むトランス脂肪酸の危険性

4.無理なダイエット

女性に特に注目してほしいのは、この項目です。
脂肪肝は肥満の人に多く、脂肪の摂りすぎばかりが原因だと考えられがちですが、それだけが原因ではありません。
無理なダイエットや偏食によって、脂肪肝になってしまいます。
無理なダイエットを続けると、肝臓で作られた脂肪をエネルギーに変換して筋肉など別の場所へ運び出す細胞機能に障害が起こり、脂肪を運び出せなくなります。
その結果、肝臓に脂肪が蓄積され、脂肪肝になります。
また、極端な食事制限やファスティング（断食）を行うと体が飢餓状態になり、全身の脂肪細胞や筋肉がエネルギー源を放出して生命維持のために使用します。
それによって一時的に体脂肪は減りますが、同時に筋肉量も低下します。
飢餓状態になることによって栄養を貯めこもうと代謝が落ちて消費エネルギー量も低下し、脂肪を貯めこんでしまいます。
キレイになりたいからといって無理なダイエットをすると、ダイエットの1番の敵である脂肪が体内に知らず知らずのうちに蓄積されてしまいますよ。

5.睡眠不足

活動時間が長い方が消費エネルギーも多く痩せそうな印象がありますが、睡眠不足は肥満の原因となります。
本来は睡眠時間よりも活動時間の方がエネルギーを消費するのですが、睡眠不足が続くとエネルギーの摂取と消費のバランスが崩れてしまい、太りやすくなります。
それだけでなく、睡眠不足などの生活習慣病が原因の肥満は、肝臓自体にダメージを与えます。
ダメージを受けた状態の肝臓は、筋肉などに糖をエネルギーとして与えるという働きが低下し、処理しきれない糖が肝臓に溜まって脂肪肝の原因になります。

脂肪肝の治療方法

1.運動

運動をすることによって、「アディポネクチン」が増加します。
アディポネクチンは脂肪細胞が分泌する生理活性物質の1種で、血糖値を下げたり、動脈硬化を防いでくれる働きがあります。
アディポネクチンは血糖値を下げるインスリンの働きをサポートするため、筋肉や脂肪組織の代謝が改善され、脂肪を貯めこみにくくなります。
運動をすれば、内臓脂肪や中性脂肪が減少するため、脂肪肝が改善されるというわけです。

運動治療が向いている人

・高血圧、糖尿病、肝障害、腎障害がある人
・心血管障害がある人
・BMIが35以上のかなり肥満な人

2.食生活の改善

食事はまず、1日の総摂取カロリーを意識しましょう。総摂取量は人それぞれ異なります。
自分に合った食事量を計算するには、まず身長から標準体重を計算して数値化してください。（身長（cm）-100）×0.9＝標準体重です。（例：158cm、48kgの場合→（158-100）×0.9＝52.2kg）
現在の体重が標準体重よりも重かった場合は、カロリー摂取量を制限しましょう。
カロリーは体重1gあたりにつき25～30kcalなので、例であげた158cm、48kgで計算すると、1日あたりの総摂取カロリーは1300～1560kcalという計算になります。
この1日の総摂取カロリーを超えれば超えるほど、肥満、脂肪肝コース一直線です。

もう1つ重要なのが、食事内容です。
ポテトチップスや炭酸ジュースで摂取した500kcalと、サラダや大豆、魚から摂取した500kcalの価値が一緒なわけがありません。
カロリーのみでなく、食事内容も見直してくださいね。

食事治療が向いている人

・日頃から飲みすぎ・食べすぎている人
・コンビニ、外食ばかりの人
・BMIが25以上の肥満の人

3.睡眠の改善

睡眠時間は短すぎると太りやすくなると説明しましたが、長くすれば痩せやすくなるというわけではありません。長すぎても太りやすくなります。
コロンビア大学の研究によると、「睡眠時間が7〜8時間の人が最も肥満になりにくい」という研究結果があります。
睡眠時間が短すぎる・長すぎる人はまず睡眠時間を見直しましょう。ただし、脂肪肝を予防するためには、睡眠時間の改善だけではいけません。睡眠の質を改善しましょう。
睡眠の質を良くするためには、起きた際に朝日を浴び、適度な運動を心がけましょう。
朝日には体内時計をリセットする作用があり、脳が睡眠状態から活動状態になったと認識します。また、運動には睡眠を促進する効果があります。適度に体を動かすことで、睡眠の質を上げることが可能ということです。

一方で、寝る前にお酒を飲むとよく眠れるという方がいますが、これは間違いです。
確かにアルコールは寝つきをよくするかもしれませんが、アルコールが分解される際に発生するアセトアルデヒドという成分が睡眠の邪魔をし、寝てる間に目覚めやすくなります。
寝る前にお酒を飲むと、睡眠の質は確実に下がるということです。
質が良くない睡眠を長時間取っても疲労が回復されることはなく、ただ体力を消耗してしまうだけです。就寝前のアルコールは控え、飲むなら就寝の3～4時間前までにしましょう。

睡眠治療が向いている人

・1日の睡眠時間が6時間以下または9時間以上の人
・よく晩酌をする人
・昼夜逆転生活を送っている人

脂肪肝に年齢は関係ありません！

脂肪肝に年齢、性別、体型は関係ありません。有名なケースでは、フリーアナウンサーの高橋真麻さんは肥満が原因で、小学生にして脂肪肝と診断されたという過去があります。
自分は無関係と思っていると、恐ろしいことになるかもしれません。肝臓は沈黙の臓器です。
今のうちに自分に合った方法で改善し、脂肪肝になりにくい体質づくりを目指しましょう！

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